Democratic Spiritへの憧憬とDandyism Expression~紳士布帛HAT stories of past and present~
Democratic Spiritへの憧憬とDandyism Expression
~紳士布帛HAT stories of past and present~
レスコ―・アルペン・ライナー・テラピンチ・チロル・・・・
紳士帽にはいわゆる‶HAT型“の帽子が色々な形が存在している。
何時頃から紳士帽の文化が始まったのか?
源流を辿って行きたいと思います。
- 創成期~浸透期(明治時代~大正時代)
日本でハットやキャップといった欧米式の帽子をかぶるようになったのは明治時代から。
明治4年(1871年)の断髪令が一つのエポックメーキングでは無いかと考察しています。
要するにチョンマゲを切った‶ザンバラ頭“を隠すために帽子が必要。
そして、急激な西洋文化の浸透により洋装が持てはやされ出します。しかしながらまだまだ、スーツ等一式を揃えるのは、非常に高額なお金がかかる事でした。当時の洋服生地は全て欧米から輸入に頼っており、トロピカル・サキソニー・ガリサージ等の無地物やピンストライプ・チョークストライプ・オルタネイト等の柄物生地で、帽子だけ揃える方が経済的に効果的というのもあったのでは……とか、
警察(巡査)や大学生の制帽として採用されたことも影響したのでは…… そしてもう一つ
欧米人に比べ、‶小柄“な日本人が自分を大きく見せるため帽子を好んで被ったのでは、と推測しています。
長く続いた‶武士時代“の身分制度から、全ての人民が平等で自由な生活を営める新時代(Democratic Spirit:民主主義精神)を象徴するアイテム:帽子。ちょんまげを切り、自由を楽しみ、新時代への期待を抱かせるアイテムだからこそ、150年後の今日まで愛用されているのでは、無いでしょうか?
- 成長期~現在に至る。
新時代の幕開けから明治~昭和初期において、帽子次第に身だしなみに欠かせないアイテムとして定着。学生から大人まで多くの男性が挙って被っていました。特に戦前期のホワイトカラーの男性は帽子へのこだわりが強く、隣の家へ電話を借りに行くときも被っていたのだとか。(Dandyism Expression:ダンディズム表現)
明治初期頃には山高帽、大正期以降は中折れ帽やハンチングを和服にあわせている姿がよく見受けられます。
昭和になると映画やテレビの影響で、スーツにネクタイをしてビシっと決めるときの究極の小道具のイメージが定着。いま、この時代のようなコーディネートをやるのはかなり勇気が必要です。(Dandyism Expression:ダンディズム表現)
現在は、精神的文化論以外にも、趣味・ライフスタイル等自身が一番自分らしく‶楽しめる“装いにもちいられています。又、バケットハットやマニッシュ型等ユニセックスで使えるHATも増え、幅広い方々に支持されています。
帽子を生業とする我々は、先人達のDemocratic Spiritに敬意を払いつつ、帽子文化(「文化」と「文明」の使い分けは、「文化」が各時代にわたって広範囲で、精神的産出の基準となっているのに対し、「文明」は時代・地域とも限定され、経済・技術の進歩に重きを置いている)を継承していく気概を持たなければならない。それが受け継がれていくDandyism Expressionにほかならない。